USCPAによる独立・起業という選択

USCPAには、日本で資格そのものに認められる独占業務がありません。

でも私は、だからこそ自由な発想による独立ができると思っています。

「USCPAで独立って、何をするの?」

そう思う人もいると思います。自分も、かなり考えました。資格を取って、Big4で経験を積んで、転職に活かす。そこから先に、自分で事業を始める道はあるのか。

考えた末に始めたのが、日本とオーストラリアをつなぐ、飲食事業開発です。

会計資格から飲食事業へ。少し意外に感じるかもしれません。今回は、Xのでは書ききれない「なぜ、この事業なのか」と「USCPAをどう活かしていくのか」を書いてみます。

USCPAで独立しようとすると、何を仕事にするかで立ち止まる

USCPAを取った後のキャリアには、比較的イメージしやすい選択肢があります。監査法人に入る。会計や財務の仕事に就く。英語と会計の知識を活かして、海外に関わる仕事をする。

自分も、資格を軸にBig4や中小法人で監査・税務の経験を積んできました。USCPAを取ったことは、その後のキャリアを考えるうえで大きな土台になっています。

ただ、自分で仕事を作ろうとすると、考えることが変わります。

転職なら、自分の経験を必要としている会社やポジションを探せる。でも起業では、誰の、どんな困りごとを解決して、お金をいただくのかから考えなければなりません。

「USCPAを持っています」だけでは、そこまでの答えにはならない。自分が立ち止まったのは、この部分でした。

「独占業務がない」は、日本での資格の位置付けの話

ここでいう「独占業務がない」は、日本でUSCPAの資格そのものに認められる業務についての話です。USCPAを持っているだけで、日本の公認会計士として監査証明を行ったり、税理士業務を行ったりできるわけではありません。

日本公認会計士協会東海会も、米国CPA資格のみでは日本の公認会計士の独占業務である監査業務を行えないと説明しています。税理士業務にも別途、法律上の制限があります。(参考:日本公認会計士協会東海会国税庁「税理士法違反行為」

つまり、自分が考えたのは「USCPAがあれば何でもできる」という話ではありません。資格と経験を活かして、どんな事業を作れるか、という話です。

「USCPA単体」で事業を考える必要はなかった

最初は、USCPAで独立するのだから、USCPAに直結する仕事を考えなければいけないと思っていました。

でも、自分の経歴を振り返ると、持っているものは資格だけではありませんでした。

  • USCPA / CPA Australiaという会計資格
  • Big4や中小法人での監査・税務の実務経験
  • オーストラリアでの生活と仕事の経験
  • 英語で学び、働いてきた経験
  • 飲食業で、現場と経理の両方に関わった経験

一つずつ見ると、別々の経歴です。資格、勤務先、海外生活、飲食の仕事。履歴書でも、それぞれ違う欄に書くようなものかもしれません。

でも、事業を考えるときまで、分けておく必要はない。

「USCPAとして何をするか」から、
「自分の経験を使って、どんな価値を作れるか」へ。

こう考えるようになってから、自分が取り組みたいことが、かなりはっきりしてきました。

会計から離れたいわけではありません。会計を土台にしながら、自分が知っている業界や国に、その知識を持ち込んでみたいと思ったんです。

日本とオーストラリアをつなぐ事業

その延長にあるのが、PGP(Paragon Global Partners)です。2019年に創業したパラゴン・ジャパン株式会社の事業ブランドとして立ち上げました。

コンセプトは、「日本と豪州をつなぐ、飲食事業開発」。インバウンドから海外進出、M&Aまで、飲食ビジネスが国境を越える場面を支える事業として取り組んでいます。

まずは、日本の飲食店が海外からの観光客を迎えるところから

目の前で取り組むのは、日本の飲食店に向けたインバウンド支援です。

たとえば、海外のお客さまがお店を探したときに、どんな料理を食べられるのか、どう予約するのか、どう注文すればいいのかがわかる状態を作ること。

Google Maps上の情報整備を軸にする「Inbound Map Boost」と、英語での店舗案内やメニュー、予約・来店までの流れを整える「Inbound Flow」を入口に、支援を進めていきます。

英語に置き換えるだけで終わらず、お店を見つけた人が、安心して「ここに行こう」と決められるところまで考える。そこに、海外生活と飲食の現場経験を活かしたいと思っています。

その先に、豪州進出やM&Aの支援を広げていく

日本の飲食企業がオーストラリアに進出する。現地の事業を引き継ぐ。あるいは、次の担い手へ事業をつなぐ。

そうした場面では、言葉が通じるだけでは足りません。事業の数字を理解すること、現場の事情を踏まえること、関係者と話を進めること。その全部が必要になるはずです。

自分が積んできた会計・英語・飲食の経験を、こうした支援につなげていく。それが、PGPで目指している方向です。

また、オーストラリアでは、共同創業者と現地法人の設立も進めています。こちらは必要な資格・登録や提供できる業務範囲を確認しながら、事業開始に向けて準備している段階です。

インバウンド支援に会計資格は役立つのか?

「それはUSCPAでなくてもできるのでは?」と思うかもしれません。

そのとおりです。英語の店舗案内やメニューを作ること自体に、USCPAは必要ありません。

ただ、私は、資格の価値は「その資格がなければできない仕事」だけで決まるものでもないと思っています。

飲食店の支援なら、英語の表現が自然かだけでなく、来店や注文につながるか、お店の負担が増えすぎないか、かけた費用に対してどんな変化があったかまで考えたい。

そこで、数字を見る習慣や、根拠を確かめて説明する姿勢が活きてくる。自分は、会計の仕事で培ってきたものを、そういう形でも使いたいと思っています。

もちろん、会計資格があるから集客の成果を出せるわけではありません。新しく身につけるべきこともありますし、成果は実際の仕事で示していく必要があります。

それでも、飲食の現場を知り、英語で考え、数字でも確かめる。この組み合わせで、自分なりの仕事を作っていこうと考えています。

USCPA取得後の道に迷ったら、資格以外の経験も並べてみる

もし今、「USCPAを取った後、何をしよう」と考えているなら、一度、資格以外の経験も並べてみるといいと思います。

自分なら、次の三つから考えます。

  1. どんな業界や現場を知っているか。仕事の流れや、そこで働く人の困りごとを具体的に想像できる分野はあるか。
  2. 会計以外に、何を組み合わせられるか。語学、海外経験、営業、IT、あるいは以前の仕事の経験でもいい。
  3. その組み合わせで、誰の何を助けられるか。「自分ができること」を、相手にとって頼む理由のある仕事にできるか。

私の場合は、それが日本とオーストラリアの飲食ビジネスでした。別の人なら、まったく違う答えになると思います。

誰もが起業を選ぶ必要はありません。この整理は、次の転職先や、これから積みたい経験を考えるときにも使えるはずです。

資格取得前にやっていた仕事も、会計とは関係がないと思っていた経験も、一度並べてみる。自分にとっては、そこに事業を考えるヒントがありました。

独占業務がない。なら、自分で仕事を作ってみる

今の自分は、「USCPAで起業して成功した人」としてこの記事を書いているわけではありません。

資格と経験をどう組み合わせれば、誰かの役に立つ仕事になるのか。それを、これから事業を通じて確かめていくところです。

独占業務がないことは、仕事が自動的に用意されていないということでもあります。自由な分、自分で考え、相手に選んでもらわなければならない。

でも自分は、その余地に面白さを感じています。

資格は、それだけで仕事になるとは限らない。でも、資格を軸に積み上げてきた経験は、組み合わせ方次第で大きな武器になる。

「USCPAだから、この仕事ができる」の先に、
「この経験をしてきた自分だから、この仕事を作れる」がある。

自分は、その可能性を試してみたいと思っています。

このブログとXでは、USCPAを取ったその先で、事業をどう作っていくのかを発信していきます。うまくいったことだけでなく、迷ったことや、考え直したことも含めて書いていくつもりです。

少しでも参考になったと感じてもらえたら、今後の投稿も見てもらえると嬉しいです。


パラゴン / PARAGON
USCPA / CPA Australia。Big4での監査・税務、オーストラリアで飲食業の現場作業と経理を経験。Paragon Global Partnersを立ち上げ、日本と豪州をつなぐ飲食事業開発に取り組みながら、オーストラリアに現地法人の設立を準備中。「USCPAを取ったその先」を発信しています。

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