USCPA取得後に国際税務という選択肢|Big4税理士法人で働いて感じたこと

USCPA

USCPAを取得した後のキャリアとして国際税務に興味があります。監査や経理とはどんな違いがあるのでしょうか。USCPAや英語は実際に役立つのか、税務未経験からでも身につけられるのか知りたいです。

こういった悩みに答えます。

☑️この記事のポイント

  • USCPA取得後のキャリアは監査だけではなく、国際税務という選択肢もある
  • 会計・監査の知識は税務でも土台になるが、税務固有の知識は別に身につける必要がある
  • 国際税務では英語そのものより、会計・税務を英語でも扱えることが重要
  • 監査と税務では同じ企業の数字を扱っていても、見る目的や考え方が異なる
  • USCPA、監査、英語、税務は組み合わせることでキャリアの選択肢が広がる

USCPAを取得すると、その後のキャリアとして最初に思い浮かぶのは監査法人かもしれません。

私自身も日本へ帰国した後は監査法人で働きました。その後は会計アドバイザリーを経て、Big4税理士法人で国際税務を中心に経験しました。

監査、会計アドバイザリー、税務。どれも企業の数字を扱う仕事ですが、実際に経験してみると、同じ会計の周辺領域でも考え方はかなり違います。

この記事では、「USCPA取得後に国際税務へ進む」というキャリアについて、自分自身の経験から感じたことを書いてみます。

USCPA取得後に国際税務というキャリアについて

結論から言えば、私は十分にありだと思っています。

ただし、「USCPAだからそのまま国際税務ができる」という意味ではありません。

USCPAで学ぶ会計や監査の知識は、企業の財務情報を理解するための土台になります。一方、税務には税務固有の法律、考え方、実務があります。

そのため、USCPAを取得したことはスタート地点として役立っても、それだけで税務の実務ができるわけではありません。

この点は、監査法人から税務へ仕事を移した時に強く感じました。

監査から会計アドバイザリー、国際税務へ

私のキャリアは、最初から国際税務を目指して一直線に進んできたわけではありません。

経理→監査→アドバイザリー→税務というキャリアは、別々の仕事であり、それぞれ特有の知識やスキルを必要とします。

ただし、経験してきて思うのは、転職したからといって完全にゼロからやり直した感覚はありません。

経理で会社の中から数字を見る。監査で外部から財務諸表を見る。アドバイザリーで企業の会計上の課題を見る。そして税務では、取引や利益に対して税法上どのように考えるのかを見る。

同じ企業活動を、少しずつ違う角度から見てきたという感覚です。

会計と税務は近いようで、考え方がかなり違う

税務へ移って感じたことの一つが、会計と税務は近いようで同じではないということです。

監査では、企業が作成した財務諸表が会計基準に沿って適切に表示されているかを考えます。

一方、税務では、その取引や所得を税法上どのように扱うのかを考えます。

入口になる数字は同じでも、最終的に答えを導くために使うルールが違います。

監査経験があることで財務諸表や仕訳を見ることには比較的慣れていましたが、それだけで税務上の結論を出せるわけではありません。

「会計上はこうなっている。では税務上はどう考えるのか」と、一度切り替えて考える必要があります。

この違いを理解していくことが、税務へ移ってからの大きな学びの一つでした。

USCPAの知識が国際税務で役立つところ

それでは、USCPAは国際税務で役に立たないのかというと、もちろんそんなことはありません。

まず大きいのは、企業会計の基礎を体系的に学んでいることです。

税務であっても、企業の取引や財務情報を理解する必要があります。売上、費用、資産、負債、利益がどのように財務諸表へ反映されているのかを理解できることは土台になります。

また、USCPAを勉強する過程では、英語で会計やビジネスに関する文章を読むことになります。

国際税務では海外とのやり取りや英語資料に触れる場面も多いため、「英語で専門的な内容を読むこと」に慣れていることには意味があります。

ただし、ここでも重要なのは英語力単体ではありません。

英語で書かれた資料を読んだうえで、会計や税務の内容を理解できることに価値があります。

USCPAを持っていても、税務は新しく学ぶことが多い

一方、USCPAを持っているからといって、税務の仕事にそのまま対応できるわけではありません。

実務でも、日本の税制や国際税務の具体的な論点は新しく学ぶ必要があります。

会計という共通言語を持ったうえで、新しく税務という専門分野を積み上げるイメージに近いと思います。

共通して使える土台は確かにある。しかし、新しく学べることも多い。

この両方に当てはまると思います。

国際税務の面白さは、企業活動と国境の両方を見るところにある

私が国際税務という仕事で興味深いと感じる点の一つは、企業活動を国境をまたいで考えることです。

企業が海外へ進出する。海外企業と取引する。グループ企業間で取引が発生する。

ビジネスそのものは国境を越えて動きますが、税制は国ごとに存在します。

そのため国際的なビジネスが増えるほど、「どの国で、どのように課税されるのか」という論点も生まれます。

会計だけを見るのではなく、企業がどこでどのような事業をしているのかを理解する必要があるところに、国際税務の特徴があると感じています。

USCPAに興味を持つ人は海外や英語が好きな傾向にあると思うので、「国境をまたぐ企業活動」というテーマとの相性は良いケースが多いのではないかと思います。

国際税務に向いている人はどんな人か

実際に働いてみて、国際税務に向いているのは、単に税務論点が好きということではないと思います。

会計が好きで、企業の取引を理解することに興味がある。法律やルールを読み、それを実際の取引に当てはめて考えることが苦にならない。海外との仕事にも興味がある。

こうした要素を持つ人には、面白い分野だと思います。

逆に、答えが常に一つに決まっている仕事を好む人には、難しさを感じる場面もあるかもしれません。

税務では事実関係を確認し、法令を読み、論点を整理して結論を考える必要があります。

ここは監査でも基準を確認しながら判断し、根拠と結論を繋げていく考え方と似ているところでもあります。

USCPA取得後のキャリアを「資格名」だけで決めない

USCPAを取得すると、監査法人や外資系経理が転職先候補になることが多いと思います。

もちろん、それらは有力な選択肢です。

ただ、私自身のキャリアを振り返ると、USCPA取得後の仕事を一つに限定する必要はないと感じています。

監査を経験した後にアドバイザリーへ行くこともできます。会計から税務へ移ることもできます。その後に事業会社や海外関連の仕事へ広げることも考えられます。

大切なのは、「USCPAだから何をするか」ではなく、USCPAという土台の上に、次にどんな実務経験を積みたいのかを考えることだと思います。

経験は後から組み合わせることができる

私の場合、オーストラリアでの経理、USCPA、監査、会計アドバイザリー、国際税務、英語は、最初から一つのキャリアプランとして完成していたわけではありません。

その時々で新しい経験を積んだ結果、後から少しずつつながってきました。

監査を経験したから財務諸表を見る力がついた。英語を使ってきたから海外関連の仕事に入りやすくなった。税務を経験したことで、同じ企業活動を別の角度から見られるようになった。

キャリアの価値は、一つの資格や一つの会社だけで決まるものではないと思っています。

経験同士を組み合わせることで、自分なりの専門性ができていきます。

まとめ|USCPA×国際税務は、会計の先に専門性を積み上げる選択肢

USCPA取得後のキャリアとして、国際税務は十分に検討できる選択肢です。

USCPAで学んだ会計や英語は土台になります。一方で、税務に進めば税務固有の知識や考え方を新しく学ぶ必要があります。

だからこそ、「USCPAを取れば国際税務ができる」と考えるより、USCPAを土台にして、国際税務という新しい専門性を加えると考える方が実態に近いと思っています。

監査、経理、会計アドバイザリー、税務。それぞれの仕事には違う視点があります。

USCPA取得後の進路を考えている人は、「どの職種が正解か」だけではなく、これからどんな視点や実務経験を自分のキャリアに追加したいのかという基準でも考えてみると、より自身のためになる経験を積んでいけるのではないかと思います。

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